〜メインテナンスはなぜ必要か〜
こんにちは!歯科衛生士の大木です。
歯医者さんには定期的に行ったほうがいいとよく聞くと思います。
歯が痛くなったりしていないのになぜ行くのか疑問に思ってる方もいるのではないでしょうか。
メインテナンスは基本的に病気にならないための予防や、治療後に再発しないために来ていただきます。
メインテナンスでは、わらわれ専門家による定期的なプロフェッショナルケアと患者さん自身による毎日のセルフケアにより治療で獲得した健康を長期にわたって維持していきます。
メインテナンスは悪くならないための治療です。
歯周病やむし歯の治療後に良くなった歯周組織を悪くしないためにメインテナンスがあります。
歯肉炎が治療されずに放置されると、歯周炎に移行する可能性があります。
この進行は患者様各自の口腔清掃と歯科医師、歯科衛生士による継続的なメインテナンスによって回避できます。
歯周病の既往がある方については、歯肉縁上の清掃のみでは、歯周ポケットの増減をコントロールできることが示されていないので周期的にメインテナンスが必要と言われています。
メインテナンスの目的は
①過去に歯肉炎や歯周炎に対する治療を受けた方の病態の進行や再発を防ぐため
②臨床的安定を達成したインプラントの喪失を防ぐため
③経過観察をしたり、補綴的処置によって歯の喪失を防ぐため
④定期的に口腔内や関連部位における疾患や状況の診断・管理を行うため
多くの研究から、定期的にメインテナンスを受けていた場合、あまり定期的に受けていない場合、全く受けていない場合を比較すると、定期的にメインテナンスを受けていた場合、歯周ポケットの増加や歯の喪失がほとんどみられないことが示されています。
しかし、歯科医師と患者様が努力して定期的にメインテナンスを受けているにもかかわらず、次々と悪化していく症例もなかには存在します。
したがって、このような患者様は細菌種や宿主の抵抗性自体に問題を抱えている場合があるので、追加処置として細菌検査を用いた診断と抗菌剤の併用療法が効果的な場合があります。
基本メインテナンスの間隔は3ヶ月に一度行います。ですが、患者様の都合でメインテナンスの来院が途絶えた後、再来院された時のデータを見るといろんなことがわかります。
例ですが
57歳女性、非喫煙者の方がメインテナンスの途中で7ヶ月ほど途絶えてしまいました。
元々歯周ポケットも小さく、患者様のプラークコントロールも良好でしたので悪化することなく維持されていました。
続いて38歳の女性で、1日10本ほど喫煙をされますが、途中で2年半もの間来院が途絶えてしまいました。
この患者様のプラークコントロールはけっして悪くなく、多少の歯肉縁上歯石が付着してはいますが、歯肉縁上のプラークはほとんどみあたりません。
にもかかわらず2年半という短い間で奥歯の骨は吸収し、歯周ポケットはかなり深くなってしまいました。
悪化したところは主に元々歯周ポケットが深く、患者様のプラークコントロールの及ばないところですが、喫煙というリスクファクターや咬合の問題なども関与しているかもしれません。
いくらセルフケアが良くても自分でケアできないところが、定期的なプロフェッショナルケアを受けないと悪化するわけです。
それではセルフケアが良くない患者様はどうでしょう?
1日20本以上の喫煙をされる54歳の男性ですが、非外科療法でかなり改善したにもかかわらず、10ヶ月ほど来院が途絶えてる間にかなり悪化してしまいました。
ポケットは、元々深いところはもっと深くなり、元々浅いところまで深くなり始めていました。
この患者様はプラークコントロールが今ひとつ定着せず、セルフケア、プロケアともに不十分な場合、全体的に悪化していくことが観察されました。
このように口腔内の環境が整備できていなかったり、患者様のセルフケアやわれわれの行うプロケアが不十分であれば歯周病の再発や進行があることはわれわれや患者様は知らない間に経験しています。
たとえメインテナンスしていても進行を食い止められないこともありますが、リスクを最小限に抑えることにより患者様の歯の寿命を大きく伸ばすことはできます。
メインテナンスはとても大切な治療です。
皆様も歯が痛くなったりと何か症状が出てからではなく、定期的にメインテナンスにいらしてくださいね。