歯周病専門医ブログ⑧歯周病の治療ってどんな治療?❷

歯周病専門医ブログ⑧歯周病の治療ってどんな治療?❷

歯周病治療とは?

こんにちは。府中エンライトデンタルクリニックの後藤弘明です。

前回説明した歯周病治療の3つのステップ

①炎症の抑制

②環境の改善

③メインテナンス

その中で今回は②環境の改善について説明します。

前回の①炎症の抑制では患者と医療従事者が協力してプラークコントロールを行ってきました。このステップが歯周病治療で最も重要であることは前回も説明してきました。ここがうまくいくと患者さんは歯茎の腫れがなくなったことを実感でき、歯磨きでの出血や、歯茎の違和感などもなくなります。仮歯を用いて噛み合わせも改善され、何ら不自由のないお口になります。

しかし、実はまだ深い歯周ポケットが残っていたりプラークコントロールがうまくできていない環境が残っていることがあります。お口の中を10年・20年と長期に安定して健康な状態を維持していくためにはこの部分の改善が必要になります。

②環境の改善 ではプラークコントロールしにくい環境を、しやすい環境に改善します。その具体的な方法を説明します。

歯周外科治療

ここまでの治療では改善しきれない深い歯周ポケットを外科的に治療します。歯周病による炎症で溶けてし まった歯を支えている骨を再生したり、形を整えたり、歯茎を強くしたりします。歯茎も強くなると遠慮なくしっかりと歯磨きができますし、深い歯周ポケットがなくなっているので歯ブラシの届かない部分がなくなります。深い歯周ポケットがなくなると歯周病原菌は繁殖することができず減少します。虫歯が歯茎の中にまで進行してしまい通常であれば抜歯となる歯も、この歯周外科治療で助けることができる場合もあります。しかし、外科治療ですので確実にメリットが上回るように厳密な診査診断のもと処置を行う必要があります。

矯正治療

歯の位置が歯周病によって移動してしまったり、元々歯並びが悪く噛み合わせが悪い場合、歯磨きが極端にしにくくなっている場合などは歯列矯正治療によって歯の位置を動かす必要があります。見た目の改善とともに、噛むという機能、治療後の日々のお手入れを簡単にすることが重要です。

補綴処置

仮歯になっていた被せ物(差し歯)や入れ歯、インプラントを本歯にします。一般的に歯科医院でよく行われる治療がこの補綴処置ですが、実は非常にやり直しになっている事が非常に多いです。現代の歯科治療の80%がやり直しの治療と言われています。長持ちさせるためには3つの重要なポイントがあると考えています。それが『清掃性・安定性の高い歯周組織、適合精度の高い補綴修復、安定した噛み合わせ』で、そのために今まで説明してきたしっかりとした歯周病治療が大切で場合によっては矯正治療も必要となります。その上で適合精度の高い補綴修復(差し歯などと残っている自分の歯の継ぎ目に段差がない)を行い、しっかり噛み合わせを作る事が大切です。被せ物や詰め物に大きな段差があると、そこが歯ブラシでうまく清掃できませんからね。

ここまでのステップをきちんと進める事が良好な治療結果を生みます。しかし、この②環境の改善は全ての方に必要なステップではありません。軽症な方や場合によっては①炎症の抑制だけで改善したり、全身状態や患者さんの希望や好みによってスキップして③メインテナンスに行くこともあります。

自分の体・人生のことですので、治療に主体的に参加して自分にどのような選択肢があるのかを知り納得の行く選択をしていく事が大切だと考えています。

以上です。